― あずみのに すんでいた おに ―
むかしむかし、しんしゅうの あずみの という ところに、
「はちめんだいおう」 という おそろしい おにが すんでいました。
はちめんだいおうは、
かぜや あめ、くも を あやつる ふしぎな ちからを もっていて、
むらの たべものを うばったり、
たくさんの ひとたちを こまらせていたのです。
「たすけてほしい!」
むらびとたちが こまっているとき、
とおりすがりの ひとりの ぶしょうが やってきました。
そのなまえは「さかのうえの たむらまろ」。
「よし、わたしが この おにを たいじしよう!」
でも、おには つよくて、
どんな やを はなっても、
ぜんぜん ききません。
たむらまろは かんのんさまに おいのりしました。
すると ゆめのなかで、
「33せつ の おを もつ やまどり の はねで やを つくりなさい」
と おつげ が あったのです。
そのころ、むらに「やすけ」という やさしい わかものが いました。
やすけは、けがをした やまどりを たすけて、
おかねを おいて かえりました。
しばらくして、
ふゆの よるに、
うつくしい むすめが みちに まよって やってきました。
やすけと おかあさんの「おさく」は、
その むすめを あたたかく むかえ、
やがて やすけと むすめは けっこんしました。
ふたりは なかよく しあわせに くらしていましたが……
あるひ、むらに おふれが でました。
「33せつの やまどりの おを もつ ひとは いないか!」
つぎのあさ、
むすめの すがたが きえていて、
のこされた おてがみには こう かかれていました。
「わたしは あのとき たすけてもらった やまどりです。
この おを つかって、 おにを たおしてください。
これが わたしの おんがえしです。」
やすけは ないて、
その はねを たむらまろに とどけました。
たむらまろは その はねで やを つくり、
つきよの よる、
おにの むねに やを はなちました。
「ドン!」
おには たおれ、
まほうの ちからも きえて、
むらに へいわが もどりました。
でも、その あと、
おにの ちが だいちに しみこんで、
むらには びょうきが はやってしまいました。
たむらまろは ふたたび かんのんさまに おいのりし、
すると、
「ちかくに わく ゆ を みつけて、 その おんせんで なおしなさい」
と おつげが あったのです。
このとき わきだした ゆが、
いまの「なかぶさ おんせん」と いわれています。
たむらまろは、
はちめんだいおうが よみがえらないように、
からだを いくつかに わけて、
ちがう ばしょに うめました。
・くびは「ちくまじんじゃ」
・どうたいは「わさびばたけ」
・みみは「みみづか」
・あしは「たてあし」
……など、
いまでも その なごりが のこっている ばしょが あります。
そして、やすけの むらは、
「やむら(矢村)」と よばれるように なりました。
おしまい
あずみのには、
いまでも「はちめんだいおう」に まつわる ばしょが たくさん のこっています。
ちょっと こわくて、
ちょっと やさしい
ふしぎな おはなしを、
ぜひ あずみのの たびで たしかめてみてね。
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